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技能実習法とは?成立・背景について解説

あなたは技能実習制度に関する法律や罰則についてご存知でしょうか?
技能実習を適正に運用するための「技能実習法」は2017年から施行され始めたばかりです。
また、これについて知っておけば罰則を受けることなく、あなたも技能実習生の受け入れができます。

そこで今回は、この「技能実習法」について解説します。
「技能実習法」の内容はもちろん、作られた背景なども知ることにより、実習生受け入れの際に「やってはいけないこと」「心がけるべきこと」を知ることができるでしょう。

 

技能実習法とは?【なぜ作られたのか】

技能実習法は外国人技能実習制度(以下: 技能実習制度)を本来の趣旨に沿って運用するために作られた法律です。2017年の11月から施行されています。

技能実習制度は1993年から始まっており、海外の発展途上国の人材に日本の技術や技能、知識を伝えて、その国の発展を図ることを目的に、運用されていました。
しかし、以下のような問題点が生じてしまい、制度の改善が求められていました。

・各関係者の責任の所在が不明確であること
・技能実習を管理する体制が整っていないこと
・法律上認められていない民間機関が、監査指導等を行なっていること
・技能実習生の保護体制が不十分であること
・高額な手数料を取る仲介業者が存在していること
・技能実習生を安価な労働力として受け入れている企業があること

このような問題点を抱えていては、技能実習制度は本来の趣旨とかけ離れてしまい、またせっかく国外から志願してくれた技能実習生の方々をがっかりさせてしまいます。
そこで、これらの問題点を改善するために作られたのが『技能実習法』です。
この記事では技能実習制度の本来の趣旨を改めて確認すると同時に、技能実習法の内容を確認していきます。

『外国人技能実習制度』とは?【あらためて確認】

技能実習制度は、1993年から始まった制度です。1960年代後半ごろから海外の現地法人などで行われていた研修制度を原型に制度化されました。
技能実習制度の目的は、日本で培われた技能や知識を発展途上国等へ移転し、その発展途上国等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することにより、国際協力を推進することです。
制度の目的・趣旨は1993年に技能実習制度が創設されて以来終始一貫している考え方です。
しかし前述したような問題点が起こってしまったため、それらを解決し本来の目的通りに技能実習制度を運用するための『技能実習法』が作られました。

技能実習に関わる関係機関

技能実習制度に関するルール、「技能実習法」を知るためにはまず、受け入れ機関以外にどのような機関が関わっているのかを知ることが必要です。見ていきましょう。

1. 実習実施者

技能実習生を受け入れ、実習を行う企業のことです。受け入れ機関とも呼ばれます。
技能実習を開始する際には、所定の事項を外国人技能実習機構に届出ることが必要です。

2. 外国人技能実習機構(OTIT)

技能実習法が始まったことに伴い2017年1月に設立された組織です。
厚生労働省が所轄する認可法人であり、「技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を図る」ことを目的として設立されました。
監理団体の許可、技能実習計画の認定、実習実施者への報告要求、検査、届出の受理、技能実習生に対する相談や支援などを行っています。

3. 公益社団法人国際人材協力機構(JITCO)

技能実習生はもちろん、その他の外国人労働者の受入れの促進を図っており、国際経済社会の発展に寄与することを事業目的とした総合支援機関です。
監理団体・実習実施者・送出機関等に対し、セミナーの開催、個別の相談対応、教材等の開発・提供などの各種支援サービスを行うほか、主務大臣からの告示を受けた養成講習機関として、監理団体の監理責任者や実習実施者の技能実習責任者等に対する養成講習を実施しています。

4. 監理団体

技能実習生を受け入れる各企業と実習生の雇用関係の成立のあっせん、各事業所において技能実習が適正に行われているかの確認や指導(実習監理)を行う、主務大臣の許可を受けた非営利団体です。
この監理団体を介さずに受け入れている企業もありますが、ほとんどの企業が監理団体を通して受け入れを行なっています

技能実習法の内容とは?

1. 外国人技能実習機構(OTIT)の設立

技能実習法の適用と同じタイミングで「外国人技能実習機構(OTIT)」が設立されました。
この外国人技能実習機構は、技能実習制度が適切に運営されることを目的として設立されました。
主に下記の業務を行います。

・技能実習計画の認定
・実習実施者の届出の受理
・監理団体の許可申請の受理
・実習実施者、監理団体に対して監督と指導
・技能実習生に対する援助、母国語での相談受付

技能実習法が適用される前は「国際研修協力機構(現在の名称は「国際人材協力機構(JITCO)」)」が行っていました。
しかし、国際研修協力機構は監督や指導を行う権限を持っていませんでした。

このような監督責任の所在が曖昧な状況を改善すべく外国人技能実習機構が設立されました。
これにより企業への監督や指導が可能となり、技能実習制度が適切な運用を目指せるようになりました。

2. 技能実習計画の認定制

技能実習法の適用前も技能実習計画の作成や習得した技能等の確認は必要とされていました。しかし、計画内容や技能習得のレベルを正しく評価し、適正に精度が運用できていることを審査する機関がありませんでした。もし適正に運用できていないのであれば、技能実習制度の本来の目的をこなせなくなってしまいます。

そこで新たに設立された外国人技能実習機構が、技能実習生ごとに作成された実習計画の内容を審査し、適正であれば認定を行うというルールになりました。このルールがあることにより、技能実習生が不十分な内容の実習を受けることはありません。
また、技能実習生の技能習得については、もともと実習実施者が定期的に確認していましたが、
技能検定、技能実習評価試験等による評価を行うことが定められました。
これにより、第3者の評価で技能習得の状況を判断することができます。

3. 実習実施者の届け出制

技能実習法が適用される前は、実習実施者には届け出義務などの規定はありませんでした。
適用後は外国人技能実習機構を通じて、出入国在留管理庁長官および厚生労働大臣への届け出が必要となりました。
これにより、実習における責任の所在が不明確であった点が改善されました。

4. 監理団体の許可制

監理団体については後ほど解説します。

技能実習法が適用される以前、監理団体は技能実習制度を通しての許可を受ける必要がありませんでした。
適用後は外国人技能実習機構による組織や監理体制等の調査を受け、主務大臣の許可を得ることが必要となりました。
許可の基準は営利目的でないこと、業務実施基準を満たしていること、不正行為などの欠落事由に該当しないことです。遵守事項、報告徴収、改善命令、許可の取消し等も規定されています。
これにより、高額な手数料を取る悪質な仲介業者をなくすことができます。またこれにより、技能実習を志願せる外国人の方々が必要以上に費用を負担するなどのトラブルを防ぐことができます。

【監理団体とは?】技能実習生の受け入れについて

技能実習生を受け入れる形態は2種類あります。「団体監理型」と「企業単独型」です。
企業単独型とは、企業が仲介機関を使わずに単独で技能実習生を受け入れる形態のことです。この形態で受け入れている企業は非常に少なく、全体の1.5%でしかありません。
多くの企業は監理団体を通して実習生を受け入れる団体監理型によって受け入れています。
このように多くの企業が監理団体を通して受け入れている実態から考えると、悪質な機関を監理団体として認めるわけにはいきません。これを受けて、監理団体の許可制が必要となりました。

特定監理団体と一般監理団体

監理団体には特定監理団体と一般監理団体の2種類があります。
全ての監理団体は、はじめは特定監理団体としての許可を受けます。のちに優良要件を満たすことで一般監理団体の許可を得ることができます。
一般監理団体は優良監理団体と呼ばれており、一般監理団体が受入れる技能実習生は、実習期間の延長や受入れ対象職種の拡大などの優遇措置を受けることができます。
もしあなたの企業が、より長い期間にわたっての技能実習生の受け入れを検討されているのであれば、一般監理事団体の許可を得ている監理団体を通して受け入れる方がいいでしょう。

5. 優良な実習実施者、監理団体には優遇措置

技能実習法により、優良な実習実施者や監理団体に対する優遇措置が設けられるようになりました。
優遇措置を受けるための条件は、技能評価試験の合格率が一定水準を超えていること、技能実習生への支援が充実していることなどです。
これらの条件を項目別にポイント化し、120点満点中の60%を超えれば優良な団体として認められ、優遇措置を受けられるようになります。優遇措置の内容には、技能実習生の受け入れ人数を通常より増やせること、技能実習3号の実習生の受け入れができることなどがあります。

このように優良な団体を目指す理由を作ることにより、技能実習制度を適正に運用する企業の増加を進めます。

6. 技能実習生の保護

技能実習生を保護するための項目があります。実習生に対する暴力、最低賃金以下での労働などの人権侵害行為等についての禁止規定が作られました。これらの禁止規定に違反した場合は罰則が課せられます。
また、技能実習生本人がこのような人権侵害行為の申告・相談をしやすくするために、情報提供体制の強化、関係機関との連携、技能実習生が母国語で相談できる窓口を外国人技能実習機構に設置をするなどの改善を行いました。

7. 実地調査

外国人技能実習機構は、監理団体と実習実施者に対しての実地調査を行います。
監理団体に対しては年1回、実習実施者に3年に1回程度の頻度で行っています。
この際にチェックするものは、雇用契約書、雇用条件書、技能実習日誌、名簿、タイムカード、賃金台帳、社会保険等の加入状況、在留カードなどです。
実地調査を定期的に行うことで、監理団体・実習実施者が普段から技能実習制度を適正に運用するように促します。

8. 罰則, ペナルティ

技能実習法は、技能実習を本来の目的・主旨に沿って実施されること、日本に受け入れた技能実習生を保護することを目的とし、定められた法律です。
そのため、技能実習法の内容に違反した機関・団体には、罰則が科せられます。

① 実習実施者、監理団体の不正行為に関する罰則

実習実施者・監理団体が不正な行為をした場合は罰則が科せられます。罰則の内容は、違反行為の内容によって異なります。違反行為の内容の程度が比較的軽ければ「改善命令」が出され、重大な不正行為の場合は、監理団体の許可や実習実施者の認定が取り消されることがあります。
さらに、不正な行為をした実習実施者・監理団体は事業者名が公表されます。事業者名が公表されると、技能実習に適さない団体とみなされるため、今後の技能実習生の受け入れは非常に難しくなると考えられます。

技能実習生の受け入れを長期的に行なっていくためには、違反行為をしないこと、してしまわないように徹底することが必要です。

② 技能実習生の保護を怠った場合の罰則

技能実習生の保護を怠った機関・団体は罰則を受けます。
保護を怠るケースは、下記のようなものが挙げられます。

[1] 技能実習生に暴行を加えたり、脅迫したりして技能実習を強制させた場合
[2] 技能実習に対して違約金を定めた場合
[3] 技能実習が行われていない時間に、他の人と連絡を取ったり会ったりすることを禁じた場合
[4] 技能実習生の許可を受けることなく、パスポートや在留カードの保管を機関・団体が行なった場合[2]~[4]の罰則は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金。企業や団体が[1]は重大な違反行為であるとみなされ、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金に科せられます。

③ 技能実習を適正に実施しなかった場合の罰則

技能実習を適正に実施しなかった機関・団体は罰則を科せられます。
実習を適正に実施していないケースには、下記のようなことがあげられます。

[5] 技能実習に関する改善命令の内容を実施しなかった場合
[6] 技能実習が続けられなくなったときに、外国人技能実習機構に届出を出さなかった場合
[7] 技能実習に関する帳簿書類を作成していなかった場合[5]は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金、[6]と[7]は30万円以下の罰金が科せられます。

まとめ

技能実習を適正に運用するため、そしてあなたの企業がより多くの実習生を受け入れるべく優良団体として認められるためには、「技能実施法」について知っておくことはとても重要です。
必ず把握しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

以上、 外国人労働者ドットコム  [2023年10月17日] より

引用元: https://www.gai-rou.com/all/技能実習法とは/

 

 

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